カウンセリングで最初にクライエントの方の問題を分析する心理的アセスメント、それを行う上で面接、心理検査、情報収集と並んで必要なことが行動観察です。
カウンセリングにおける観察
心理カウンセリングにおける観察とは、クライエントに関わる情報を五感、特に視聴覚を通して集める行為で、その情報を体系的に整理、分析することで、クライエントとクライエントの抱える問題について外的側面のみならず内的側面にも迫るアプローチです。
会話などの言語的回答に依存しないでのデータ収集が可能なため、たとえば言語能力に乏しい乳幼児や子供などに特に有効に活用出来ます。
カウンセラーはその手法である観察法にも習熟している必要があります。
観察法
心理カウンセリングにおける観察法は、4つの視点に分けることが出来ます。
①観察状況にどれだけ人的操作を加えるか
②現象をどのように切り分け選択するか
③観察したものをいかに記述するか
④観察する人や対象にどのようなスタンスでかかわるか
①の観察状況においてどれだけ人的な操作を加えるかにおいて、自然に起きる行動をありのままに観察する方法を自然観察法と呼びます。
対して、観察者が意図的に状況や環境を操作して対象の行動や反応を観察しようとするのが実験的観察法となります。
②の視点において、特定の場面においての観察を場面見本法、特定の出来事に注視した観察を事象見本法、特定の時間帯に注目した観察を時間見本法と呼びます。
③の視点において、起こった行動や出来事を直接的に書き留めていく方法を行動描写法、それに対して起こった行動を設定されたカテゴリに分けていくものをカテゴリ・チェック法と呼びます。
④の視点において、観察者が観察される人との関わりを持たない方法を非交流的非参加観察法、あらかじめ観察者に役割を理解してもらって行う観察を消極的参加観察法、たとえば子供の遊び相手として参加することで同時に観察するような場合を交流的参加観察法と呼びます。
これらの観察法を状況に応じて使い分け、クライエントや問題について理解することがカウンセラーにとって必要な技術になります。
関与しながらの観察
観察というと観察をする側とされる側に分かれているように感じますが、観察といっても人が人と関わる以上、どちらにも影響が生まれます。
新フロイト派のサリヴァンは客観的に観察する対象を対象として扱わず、治療者である自分を含めた上で観察をする態度を主張しました。これを関与しながらの観察と呼びます。
観察する相手は観察する物では決してなく、心を持った人です。このような姿勢が人と向き合う上でカウンセラーには重要なのです。