心理検査法とその長所と限界・診断と治療はともに進んでいる

カウンセリングにおける心理アセスメントにおいては、行動観察法、面接法、心理検査法の3つを主に用いてクライエントの方の様々な情報を収集し、見立てをし、理解や治療に役立てていくことになります。

心理検査法

心理検査とは、「人間の知能、パーソナリティ、発達、精神機能や心理状態がどのようなものであるかを知り、個人や集団を理解するための検査」になります。
観察法や面接法と併用することで、その2つだけでは判断出来ない側面から、クライエントのパーソナリティや課題を理解することが出来ます。

心理検査の種類とテスト・バッテリー

心理検査の方法は主に「質問紙法」「投映法」「作業検査法」の3種類があります。
それぞれに特徴があり、その検査の特徴を生かし、クライエントの多面的・重層的な理解をする必要があります。
この理解をするために複数の心理検査を組み合わせて実施することをテスト・バッテリーと言います。

心理検査の長所と限界

様々な心理検査が存在しますが、主な心理検査の長所と限界は以下のようになります。


長所

①個人のパーソナリティや能力について、目的別に、詳細かつ客観的に評価できる。

②観察や面接ではあいまいで評価しにくい面を明確化出来る。

③数値やプロフィールなどによって具体的に視覚化され、他者と共有されやすい。

④治療効果の評価が可能になる。

⑤検査の結果を通してクライエントの自己理解が促進される場合がある。

⑥投映法を用いることで、そのパーソナリティを力動的に理解出来る。

⑦描画法では、そのプロセスによってテスターとクライエントのコミュニケーションが活性化されて心理的な効果をもたらすことがある。


限界

①検査は被検者の一面を捉えているだけで、結果の過信はできない。

②検査結果はあくまで検査時点での情報であり、一般的な傾向とは言い切れない。

③検査時の状況や被検者の状態が検査結果に影響する場合がある。

④質問紙法では、被検者が回答を歪める可能性がある。

⑤投影法では実施や結果の解釈に熟練を要するため、客観性に疑念が生じる場合がある。


心理検査は有用な長所もありますが、結果を絶対視しないことも大切です。


大切なことは観察、面接でもそうですが、心理検査でも診断と治療はともに進んでいるということです。

心理検査を通して、クライエントと良い信頼関係を結び、理解を深め、またクライエントにとっても、検査を通して自分をまた別の角度で見つめたりと、治療的な要素を含むことも多いのです。


心理検査を通しても、クライエントと心の通った関わりを持つように心がけ、良いアセスメントにしなければなりません。