矢田部ギルフォード性格検査(YG性格検査)の特徴

矢田部ギルフォード性格検査とはパーソナリティ検査の代表的なもので、ギルフォードとマーチンが作成した性格検査をモデルに矢田部達郎が再構成した性格検査です。

矢田部ギルフォード性格検査の特徴

矢田部ギルフォード性格検査の特徴は以下のようになります。

  • 12尺度から構成され、1尺度10問、全体で120項目の質問がある。
  • はい、いいえ、どちらでもないの3件法で、30分程度で簡単に出来る。
  • 採点も用意で、産業や教育分野で多く使われ先行研究が多い。
  • 質問を一定間隔で読み上げ、そのペースに合わせて回答するという強制速度法で行う。
  • 類型論的、多面的な評価が可能。
  • 回答の歪曲に弱い。

矢田部ギルフォード性格検査の尺度

12尺度6因子から構成され、前半6尺度は情緒性、後半6尺度は向性に関係しています。

6つの因子は①情緒不安定因子②社会不適応因子③活動性因子④衝動性因子⑤内省性因子⑥主導性因子に分かれそれぞれ2~3の尺度に分かれます。

矢田部ギルフォード性格検査の判定・解釈

検査の実施後、12個の各尺度の点数を計算しプロフィール判定を行います。

プロフィール判定は5つの類型に分けられます。

5つの類型

A型:平均型 平均的な性格。

B型:不安定積極型 情緒が不安定で社会的に不適応。活動的で外向的。

C型:安定消極型 情緒安定で社会的に適応しているが積極性にかけ内向的。

D型:安定積極型 情緒が安定して社会適応、活動性も高く好ましい性格。

E型 不安定消極型 情緒が不安定で消極的、内向的。

典型A型、準型A´ 混合ACなどにも分かれます。

質問紙法での心理検査とその長所短所について

質問紙法とは

心理検査で用いられる手法で、紙面に多くの質問事項が記載され、クライエントに回答を求める手法です。

二件法では「はい」「いいえ」、三件法では「はい」「いいえ」「どちらでもない」などの選択肢が用いられます。こういった選択肢で回答する形式と、自由に記述する自由記述法があります。

質問紙法の長所と短所

長所としては、一度に多くの相手を対象と出来る集団実施が可能という点、結果の集計や統計処理が容易という点があげられます。

短所としては、その回答が社会的望ましさや虚偽によって歪曲されやすいという点、クライエントの言語能力に依存してしまう、クライエントの行動過程や潜在意識まで捉えることが出来ないなどが挙げられます。

主な質問紙法

◇パーソナリティ検査

矢田部-ギルフォード性格検査(Y-G性格検査)

MMPI(ミネソタ多面的人格目録)

エゴグラム

◇不安検査

MAS(顕在性不安尺度)

STAI(状態-特性不安検査)

◇その他

CMI(コーネル健康調査票)

GHQ(精神健康調査票)

心理検査法とその長所と限界・診断と治療はともに進んでいる

カウンセリングにおける心理アセスメントにおいては、行動観察法、面接法、心理検査法の3つを主に用いてクライエントの方の様々な情報を収集し、見立てをし、理解や治療に役立てていくことになります。

心理検査法

心理検査とは、「人間の知能、パーソナリティ、発達、精神機能や心理状態がどのようなものであるかを知り、個人や集団を理解するための検査」になります。
観察法や面接法と併用することで、その2つだけでは判断出来ない側面から、クライエントのパーソナリティや課題を理解することが出来ます。

心理検査の種類とテスト・バッテリー

心理検査の方法は主に「質問紙法」「投映法」「作業検査法」の3種類があります。
それぞれに特徴があり、その検査の特徴を生かし、クライエントの多面的・重層的な理解をする必要があります。
この理解をするために複数の心理検査を組み合わせて実施することをテスト・バッテリーと言います。

心理検査の長所と限界

様々な心理検査が存在しますが、主な心理検査の長所と限界は以下のようになります。


長所

①個人のパーソナリティや能力について、目的別に、詳細かつ客観的に評価できる。

②観察や面接ではあいまいで評価しにくい面を明確化出来る。

③数値やプロフィールなどによって具体的に視覚化され、他者と共有されやすい。

④治療効果の評価が可能になる。

⑤検査の結果を通してクライエントの自己理解が促進される場合がある。

⑥投映法を用いることで、そのパーソナリティを力動的に理解出来る。

⑦描画法では、そのプロセスによってテスターとクライエントのコミュニケーションが活性化されて心理的な効果をもたらすことがある。


限界

①検査は被検者の一面を捉えているだけで、結果の過信はできない。

②検査結果はあくまで検査時点での情報であり、一般的な傾向とは言い切れない。

③検査時の状況や被検者の状態が検査結果に影響する場合がある。

④質問紙法では、被検者が回答を歪める可能性がある。

⑤投影法では実施や結果の解釈に熟練を要するため、客観性に疑念が生じる場合がある。


心理検査は有用な長所もありますが、結果を絶対視しないことも大切です。


大切なことは観察、面接でもそうですが、心理検査でも診断と治療はともに進んでいるということです。

心理検査を通して、クライエントと良い信頼関係を結び、理解を深め、またクライエントにとっても、検査を通して自分をまた別の角度で見つめたりと、治療的な要素を含むことも多いのです。


心理検査を通しても、クライエントと心の通った関わりを持つように心がけ、良いアセスメントにしなければなりません。

関与しながらの観察 心理カウンセリングにおける観察法

カウンセリングで最初にクライエントの方の問題を分析する心理的アセスメント、それを行う上で面接、心理検査、情報収集と並んで必要なことが行動観察です。

カウンセリングにおける観察

心理カウンセリングにおける観察とは、クライエントに関わる情報を五感、特に視聴覚を通して集める行為で、その情報を体系的に整理、分析することで、クライエントとクライエントの抱える問題について外的側面のみならず内的側面にも迫るアプローチです。

会話などの言語的回答に依存しないでのデータ収集が可能なため、たとえば言語能力に乏しい乳幼児や子供などに特に有効に活用出来ます。
カウンセラーはその手法である観察法にも習熟している必要があります。

観察法

心理カウンセリングにおける観察法は、4つの視点に分けることが出来ます。

①観察状況にどれだけ人的操作を加えるか
②現象をどのように切り分け選択するか
③観察したものをいかに記述するか
④観察する人や対象にどのようなスタンスでかかわるか

①の観察状況においてどれだけ人的な操作を加えるかにおいて、自然に起きる行動をありのままに観察する方法を自然観察法と呼びます。

対して、観察者が意図的に状況や環境を操作して対象の行動や反応を観察しようとするのが実験的観察法となります。

②の視点において、特定の場面においての観察を場面見本法、特定の出来事に注視した観察を事象見本法、特定の時間帯に注目した観察を時間見本法と呼びます。

③の視点において、起こった行動や出来事を直接的に書き留めていく方法を行動描写法、それに対して起こった行動を設定されたカテゴリに分けていくものをカテゴリ・チェック法と呼びます。

④の視点において、観察者が観察される人との関わりを持たない方法を非交流的非参加観察法、あらかじめ観察者に役割を理解してもらって行う観察を消極的参加観察法、たとえば子供の遊び相手として参加することで同時に観察するような場合を交流的参加観察法と呼びます。

これらの観察法を状況に応じて使い分け、クライエントや問題について理解することがカウンセラーにとって必要な技術になります。

関与しながらの観察

観察というと観察をする側とされる側に分かれているように感じますが、観察といっても人が人と関わる以上、どちらにも影響が生まれます。

新フロイト派のサリヴァンは客観的に観察する対象を対象として扱わず、治療者である自分を含めた上で観察をする態度を主張しました。これを関与しながらの観察と呼びます。

観察する相手は観察する物では決してなく、心を持った人です。このような姿勢が人と向き合う上でカウンセラーには重要なのです。

心理カウンセリング面接における大切な技法 面接法における構造化

心理カウンセリングにおいて面接はとても重要な技術になりますが、クライエントの方々は当然様々な問題を抱え、様々な個性を持っていますから、面接がいつも同じ構成、同じ技法でよいというわけではありません。

クライエントの問題を理解する心理アセスメントの段階での面接では、クライエントに質問を投げかけることになりますが、その質問の仕方にもいくつかの手法があります。

これが面接における構造化・半構造化・非構造化です。

①構造化面接

構造化面接は、クライアントにあらかじめ用意した質問や質問紙型を利用して行う面接です。

質問内容が決まっているため情報の信頼性が高まりますが、一方で質問項目以外の情報を得ることが出来ません。

②半構造化面接

半構造化面接では、質問の内容はあらかじめ決めますが、質問の変更や追加の質問を行います。規定の質問に加え、多様な情報を得ることが出来ます。

③非構造化面接

非構造化面接では質問内容をあらかじめ準備しません。会話の流れに応じて多種多様な情報は収集出来ますが、それをまとめ利用出来るかは、カウンセラーの力量が問われます。

このように最初の質問の段階でもいくつかの手法に分かれて来ます。様々なケースやクライエントの個性に合わせられるよう、出来る限り多くの手法を理解し、使いこなせることでよりクライエントの課題や個性の理解が深まるでしょう。

心理カウンセリングで重要となる面接と面接法について

心理カウンセリングにおける面接の技術は面接法と呼ばれます。

まず、面接とはどのようなものなのでしょうか。

カウンセラーにとって面接法はとても重要な技術ですが、主に四つの目的に分かれた面接法を扱います。

面接法とは目的によって使い分けられます。

①行動変容 ②情報収集 ③評価 ④契約締結

クライエントとの一番最初のインテーク面接から始まって、情報を収集し、行動変容を促し、評価を行い、治療の契約を行うというそれぞれのフェーズに応じた面接技術が必要になります。

クライエントの問題点を理解する心理アセスメントの段階で必要な面接は

①インテーク面接と②査定面接になります。

査定面接

査定面接とは、クライエントの個性や行動特徴を多面的に評価する面接です。
会話を通した面接や心理検査を通してクライエントが不適応を起こしている部分ばかりでなく、健康的であったり、潜在的な可能性も評価し、全人格的な理解を試みます。

このように、カウンセラーは様々な段階で多面的にクライエントを理解し、評価する面接法に習熟していることが必要になります。

心理的アセスメントの段階だけでなく、例えば論理療法や来談者中心療法などでは面接法が治療の中心となってきますし、他の療法においても一番最初のアセスメントの段階をはじめ非常に重要な技術です。

面接法の技術カウンセリングの核であることは間違いありません。

次回は具体的な面接の構造化について取り上げます。

心理的アセスメントにおける面接法①インテーク面接とラポール

心理的アセスメントにおいては行動観察、面接、心理検査の3つの手法が中心となります。

その中での面接法は、クライエントと言語的・非言語的なやりとりを直接行い、その人を理解しようとする方法です。

カウンセリング全体としては、面接法を中心する場合やエクササイズや課題の遂行を中心とする場合もあるが、面接のスキルがカウンセラーのスキルの中心になることは間違いありません。

その中でも心理的アセスメントの場合における面接法での中心用語を解説します。

インテーク面接

インテーク面接とは、受理面接とも呼ばれ、クライエントの訴えや背景の確認をするために情報収集を行う面接を意味します。
クライエントの相談をカウンセラーが受けるべきか他の機関につなぐべきかの受理判断も行われますが、クライエントにとってはカウンセラーと信頼関係を結べるかどうかの重要な初回面接となります。カウンセラーはクライエントとラポールを形成することが重要です。

ラポール

ラポールとは、クライエントとカウンセラーにおちて相互を信頼し合い安心して感情の交流を持てる関係が成立している状態のことを指します。
クライエントは心の壁を緩和し、カウンセラーへの信頼感と好感を持ち、カウンセラーも自己開示ができ、共感性や受容性が持てるといったプラスの感情(陽性感情)に基づく信頼関係が結ばれていることで、カウンセリングに必要不可欠なリレーションです。

リファー

適切なインテーク面接を行った上で、カウンセラーにとってクライエントの状況が自分の守備範囲を超えるものであれば、クライエントのために相応しい相談機関に引き継がなければなりません。この際もクライエントが不安を抱かないように適切なリファーを行うことが重要となります。

心理的アセスメントとは

カウンセリングや心理的援助が必要な方にはまず心理的なアセスメント(評価・分析)というプロセスが取られます。

心理的アセスメントとは、「面接や観察、心理検査などを通して、クライエントを様々な視点からとらえ、クライエントが抱えている問題を理解すること」です。

アセスメントと通常の医療の診断との違いは、健康的側面やその人らしさとして行動特性や性格特徴、潜在的な可能性といった側面もとらえた、全人格的な理解に努めることです。

多面的な側面からクライエントを理解しようとする姿勢が重要となります。

診断と治療はともに進む

医療においては診断プロセス自体が最初から治療的側面を持ち、診断とともに治療が進むプロセスが見られますが、心理的アセスメントにおいてもこの観点が重要です。
客観的な検査や評価だけでなく、クライエントの潜在的な可能性を見出し、それに期待や信頼を寄せることが求められます。
具体的なアセスメントの方法としては、行動観察法、面接法、心理検査法が挙げられます。

【ご挨拶】こんにちは。マグノリア・エスポワール代表の奥山です。

【このエスポワール・ブログでは、サロンのこと、お悩みの事例その他、マグノリア・エスポワールとカウンセラー奥山修司のそのままの姿をお伝えして行きたいと思います。】

みなさん、こんにちは。私は2013年に東京港区でセラピーカウンセリングサロンを開業して以来、非常に多くの方々のお悩みに向き合って来ました。

お仕事の悩みやご家族、ご夫婦の悩みなど、サロンでは多岐に渡るご相談をお伺いしてきました。

私は幼いころから人の心に強く関心があり、大学では哲学を専攻、卒業論文では心理学者のエーリッヒフロムを研究致しました。それ以来、人の心の奥深さ、そして少しの心の支えが人の人生を大きく左右することから、悩み苦しまれている方の力になりたいとずっと仕事に取り組んできました。

心の悩みを専門にお伺いするサロンとして、サロンを創設、その後横浜に移転し現在のマグノリア・エスポワールに至ります。併設のアロマサロン・マグノリアでも多くの方のご支持をいただいており、きっと貴方のお力になれると確信しております。

エスポワールはフランス語で「希望」です。

シンプルで力強い言葉、みなさんの希望になれるよう、全力でカウンセリングに取り組んで参ります。

マグノリア・エスポワールのカウンセリングは何も力を入れて望んでいただくことはありません。そのリラックスしたセッションにきっと驚かれることでしょう。ぜひお気軽に元町のサロンにお越しください。横浜駅などへの出張も承ります。

貴方の人生の小さくて大きな一歩になりますように。

マグノリア・エスポワール代表 奥山修司